
■ドラマ「silent」の主題歌
今回は髭男のSubtitleを考察していきたいと思います!
ドラマは皆さんもご存知の通り、恋愛の物語ですが、
僕はPVで見る親子の物語にも着目して、
楽曲自体を考察していきたいと思います!
人によって解釈は違く、またその解釈が、男女の恋愛だったり、親子の愛情だったり、
どういう角度から解釈しても素敵な楽曲となっております。

■髭男らしい上品でかつ刺さるワードセンス
そんなだいぶ傲慢な思い込みを拗らせてたんだよ ごめんね 笑ってやって
火傷しそうなほどのポジティブの 冷たさと残酷さに気付いたんだよ
きっと君に渡したいものはもっとひんやり熱いもの
世の中に溢れる理不尽や嫌なこと、また大人になっていく中で得る羞恥心による冷たい心。
そんな冷たくなった心にとって、太陽のように熱いポジションを、僕は維持しているよという主人公の想い。
しかし、それは主人公自身が勝手に思っている“傲慢な思い込み”でしかありません。
主人公自身が持つ、“火傷しそうなほどのポジティブ”。
一見良いものと見えるソレも、
主人公自身の“傲慢な思い込み”であり、
残酷なほど冷たい感情となって君に伝わっていることに気付きます。
君に渡したいものは“ひんやり熱いもの”。
暖かさと冷たさのような、真逆のものを持ち合わせた、
バランスの良いものを表現しているのでしょう。
うわべよりも胸の奥の奥を温めるもの
理想だけはあるけど 心のどこ探しても まるで見つからないんだよ
伝えたい伝わらない その不条理が今 キツく縛りつけるんだよ
臆病な僕の この一挙手一投足を
綺麗事にならない、間違いなく綺麗なもので、
うわべではない胸の奥に届くもの。
そんな理想はありますが、どこを探しても見つからない主人公。
伝えたい気持ちと、伝わらない現実。
そんな不条理が、主人公の一つ一つの行動を苦しめます。
夢中になればなるほどに 形は崩れ落ちて溶けていって
消えてしまうけど
でも僕が選ぶ言葉が そこに託された想いが
君の胸を震わすのを 諦められない 愛してるよりも愛が届くまで
もう少しだけ待ってて
主人公は自分の言葉を雪の結晶に例えます。
必死になって伝えようとする言葉が伝わらない様子と、
雪の結晶が溶けていってしまう様子とを重ねます。
それでも、主人公自身が“選ぶ言葉”で“託された想い”を伝えたいと思っています。
言葉が伝わる様子を、“愛してるよりも愛が届くまで”と例えています。
簡単に伝えることができる愛してるの言葉。
言葉ではなく、本当に伝わって欲しい愛の気持ちが伝わるまでは、
どうか待っていて欲しい主人公の感情が描かれています。

どうしたって生温くて君を痛めつけてしまうのだろう
1番のAメロで歌われていた“火傷しそうなほどのポジティブの冷たさと残酷さ””君に渡したいものはもっとひんやり熱いもの”というワードのように、
一見真逆と思える言葉についての説明を、2番Aメロではわかりやすく歌われております。
(わかりやすいと言っても考察が必要なほどではある)
何もせず薄着で立っているだけで、汗をかいてしまう主人公。
自分のやりたいことに対して全力になるほどに空回りしてしまい、
結局中途半端な状況になってしまう。
それを生温いと表現しています。
冗談でもそんな残酷なこと言わないでよ
別に言えばいいけど 全人生を賭けても ちゃんと覆さしてよ
救いたい=救われたい このイコールが今 優しく剥がしていくんだよ
堅い理論武装 プライドの過剰包装を
自分がそんな状況を続けてしまうせいで、誤解させてしまい、彼女から放たれる言葉。
もどかしい気持ちの中、
“別に言えばいいけど、全人生を賭けても、ちゃんと覆さしてよ”と伝えます。
彼女を救いたいと言う気持ちと、
それが実現できることによって自分自身が救われたいと思うことが、イコールであると書かれています。
そんな“救いたい=救われたい”の式こそが、
プライドにより柔軟に相手の言葉を聞くことができず、
また、自分自身も柔軟に対応することができない、
理論的に決定づけようとする状況を、なくしていきます。
イルミネーションみたいな 不特定多数じゃなくてただ1人
君であってほしい
理論で正しさを主張することよりも、ただ気持ちだけの優しさが欲しい。
彼女の気持ちを歌っているように思えます。
主人公は、頭ではわかっています。
そして、優しさを受けとることができるのは、君であってほしい強い気持ちが描かれています。
不特定多数の人々をイルミネーションと比喩するところが、冬を彷彿とさせる素敵なワードチョイスだなと、思いました。

足しすぎた熱量で 引かれてしまったカーテン
そんな失敗作を 重ねて 重ねて 重ねて
見つけたいんだいつか 最高の一言一句を
四則演算に乗せて、主人公のこれまでを振り返ります。
君と主人公の中に入った亀裂、言葉をかけることによって取り持とうとしますが、
主人公の熱量が強すぎて、シャットアウトされてしまう。。
日々失敗を繰り返してしまいますが、
それを繰り返した先で、
君に贈る最高の言葉を見つけたいという主人公の想いが歌われています。
時間が経ってしまえば大抵 記憶から溢れ落ちて溶けていって
消えてしまう でも
絶えず僕らのストーリーに 添えられた字幕のように
思い返した時 不意に目をやる時に
君の胸を震わすもの 探し続けたい 愛してるよりも愛が届くまで
もう少しだけ待ってて
言葉で伝えることは、時間が経つと記憶から消えてしまいます。
一方で、気持ちを伝えることができれば、忘れることはきっとありません。
僕と君の物語を思い返した時に、自然と思い出し、胸が震えるような愛。
それを、主人公は探し続けたいと思っています。
勝手に君のそばで あれこれと考えてる 雪が溶けても残ってる
言葉ではなく、しっかりと伝わった言葉は、
雪が溶けるほどの時間が経ってもしっかりと残っています。
■今回も素敵な歌詞でした
冒頭にもお話ししたように、これは単なるカップルの物語としてしか考察しないのはもったいない!
ドラマのイメージが強い楽曲ですが、楽曲そのものを考察するのもまた、面白いですね。

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